てんかん発作には大きく2つの分け方があります
概要の記事でも説明しましたが、てんかんはまず起きる部位によって大きく2つに分けられます。大脳の片側の一部が興奮する部分てんかんと、両側の大脳半球の広範囲に興奮が起きる全般てんかんです。また原因のわかるてんかんを症候性てんかん、原因不明なてんかんを特発性てんかんとして分類します。これらを合わせると、特発性部分てんかん、症候性部分てんかん、特発性全般てんかん、症候性全般てんかんの4種類に分類できます。
部分発作は意識障害の有無によってさらに分類されます
部分てんかんの症状である部分発作は意識障害の有無によってさらに分類されます。意識がある場合は
単純部分発作、意識が失われる場合は
複雑部分発作と呼ばれます。さらに、部分発作に始まり、全身のけいれんが起きる場合は
二次性全般化発作と呼ばれます。二次性全般化発作は部分発作に始まり、最終的に多くは強直間代発作が出て意識が消失しますが、分類上は部分発作に含まれます。
部分発作の具体的な症状
単純部分発作の場合、意識があるため患者さんは症状を全て記憶しています。運動機能の障害(手足や顔のひきつり、ねじれ、けいれんなど)、視覚や聴覚の異常(小さな虫が飛びまわっているのが見える、人が話す声が聞こえるなど)、自律神経の異常(頭痛、吐き気など)といった様々な症状がみられます。複雑部分発作の場合、完全に意識を失い倒れることは少ないですが、記憶障害がみられ、急に動作を止めてぼーっとしたり、フラフラと歩き回るなど無意味な動作を繰り返します。
全般発作も型によってさらに細かく分類されます
全般発作の場合、大脳の広範囲で過剰な興奮が起こるので、ほとんどの患者さんは意識がなくなります。意識が失われることにより、もし運転中などに発作が起きてしまった場合は、高い確率で事故につながります。全般発作はその型によりさらに細かく分類されます。強直・間代発作、脱力発作、欠神発作、ミオクロニー発作などに分類されます。脱力発作と欠神発作は非けいれん性、強直・間代発作とミオクロニー発作はけいれん性の発作です。
非けいれん性発作:脱力発作・欠神発作
脱力発作は全身の筋肉の緊張が低下・消失し、そのために崩れるように倒れたりしてしまう発作です。持続時間は数秒以内と瞬間的に起きるため、発作だと気づかれないケースも見られます。
欠神発作はより長く数十秒間にわたって意識がなくなる発作です。何かをしている時に突然意識がなくなり、急に動作が止まります。子ども、特に女の子によく見られ、注意力・集中力がない子どもだと誤解されてしまうケースも見られます。
けいれん性発作:強直・間代発作
強直・間代発作は強直発作を起こし、その後間代発作という2つの違うタイプの発作を引き続いて起こす発作です。最初に起きる強直発作は、筋けいれんとともに突然意識を失い、目を見開き、歯を食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身が硬くなっていく発作です。このような状態が数秒~数十秒間持続します。続く間代発作では、膝など四肢を折り曲げる格好になり、手足を一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起きます。これが数十秒間持続したあと、自然睡眠と呼ばれる30分~1時間ほどの眠りに移行する場合があります。
けいれん性発作:ミオクロニー発作
ミオクロニー発作は手足、肩、顔面など、体の一部分の筋肉が一瞬収縮する発作です。「ミオクロニー」は日本語に直せば「筋肉のけいれん」であり、基本的には1回だけ起きます。これが連続して起きるのが間代発作になります。けいれんと言っても、転倒したり、持っている物を投げ飛ばしてしまうような場合もあります。また、光によって誘発されることもあり、寝起きや就寝時に起こりやすい傾向が見られます。意識障害はほぼ見られません。