若い世代でも認知症になることがあります
高齢者の増加と共に認知症患者は激増し、認知症は高齢者の病気であると認識されていることが多いです。しかし、働き盛りの若い世代でも認知症になることは決して珍しいことではありません。65歳未満で発症した場合が「
若年性認知症」と定義されており、日本全体で数万人もの人がこれにあたると考えられています。早い例では、40歳代で確認されている例もあり、平均は50歳前後です。
若年性認知症は働き盛りの世代がかかるため影響が大きいです
若年性認知症は働き盛りの世代であったり、子どもがまだ成人していなかったり、親の介護と重なったりします。本人にとっても周囲にとっても大きな影響があり、できるだけ初期段階で認知症と診断して、その影響を小さくすることが必要です。若年性認知症は社会的に大きな問題ですが、まだ臨床現場での認識が不足している状況であり、うつ病など他の病気と診断されてしまう場合があります。
最も多いタイプの若年性認知症は血管性認知症です
認知症全体の半分以上はアルツハイマー型認知症ですが、若年性認知症の場合は
血管性認知症が最も多く40%程を占め、アルツハイマー型認知症がそれに続きます。また近年注目されている前頭側頭型認知症も多いとされています。これは、アルツハイマー型認知症が発症までに時間がかかるのに対して、血管性認知症は脳梗塞などにより急に発症しうることが原因と考えられます。また若年性認知症は女性よりも男性に多く見られます。
早期発見のために日常生活での変化を見逃さないことが大切です
若年性認知症の場合は、まだ若くて元気な世代であるため認知症であることに思い至らず、どうしても受診が遅れます。仕事でのミスが急に増えた、同じ話を何度もするようになった、車の運転が不安定になった、急に性格が変化したといった様々な変化を、本人と周囲の人がうまく捉えることが重要です。疲労、更年期障害、うつ病など、他の病気と診断されたり、自分で思いこんでしまわないよう注意が必要です。
若年性認知症の方も介護保険や自立支援医療制度が利用できます
若年性認知症は働き盛りの人の病気なので、どうしても金銭的負担が増加します。40歳以上であれば介護保険が利用できますし、40歳未満であっても自立支援医療制度を利用することができます。できるだけ早期発見をして認知症の進行を遅らせながら、これらの制度を利用してリハビリに努めることで、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を維持できます。
一般の認知症の方以上に様々な配慮が必要です
すでに症状が重度になってしまった方を除き、認知症の方は今までの自分を何とか保とうと苦しみ大きなストレスにさらされます。特に若年性認知症の方は、まだまだ働けるはずなのにという思いがあり、最初は事実を認めることがなかなかできないと思われます。追い詰められた精神状態になり、うつ病になる方もいらっしゃいます。周囲の方は、本人が安心できる言葉をかけながら、優しく寄り添ってあげてください。