小児のうつ病は1970年代から研究されています
小中学生の子どもたちがうつ状態になりうるかどうか、1970年代にすでに議論が行われていました。1976年にはイギリスのエジンバラで子どもたちがうつ状態かどうかを調べる尺度が開発されました。これが弊社が出版している
DSRS-C(バールソン児童用抑うつ性尺度)の原型です。近年になってうつ状態にある児童の数は増えていると見られ、小児うつ病に対するさらなる知見・研究が求められています。
うつ病と正反対にみえる症状が現れることがあり注意が必要です
小児うつ病もほとんどは大人のうつ病と同じです。耐えられない悲しみを感じているか非常にいらだたしい気分であり、自分は無価値だという感情や罪悪感を抱く場合があります。また、スポーツをしたり、友達と遊んだりといった活動への興味を失います。しかし、中には過度に活発になったりいらだたしい気分になったりする小児もいます。多動や攻撃性、イライラした様子、非常に怒りっぽい行動など、うつ病と正反対にみえる症状が現れることもあるので、注意が必要です。
大人と違い子どもは落ち込んだ気分を言葉で表現できません
基本的には大人と同じ症状ですが、心身共に発達過程にある子供は、落ち込んだ気分を自分の言葉で表現できません。症状は行動(イライラ・注意力低下・成績が急激に落ちるなど)や身体症状(食欲不振・吐き気・頭痛など)として現れることも多いです。こうした小児の症状を見つけた際に、うつ病の可能性を検討することも重要と考えられます。不安や行為障害、多動、学習障害などが併発することも多いので注意が必要です。
環境の変化が小児うつを増加させている原因と考えられます
現代社会は、周囲との競争や人間関係での
ストレスが増加しています。子ども社会の場合、交友関係が狭い分、その人間関係は大人以上に重要で深いものと言えます。また近年は、LINEやtwitterなどの登場により、昔では起こりえなかった人間関係のトラブルも増えています。大人たちが子どもを叱らなくなったことで、ストレスに対する耐性が低下しているとも考えられます。これら周囲の環境の変化によって小児のうつ病が増加しているようです。
ご両親であってもうつ病かどうか見分けるのは困難です
大人のうつ病と同様、うつ病の可能性がある症状が2週間以上続くような場合は注意が必要です。身体症状がある場合、まずは小児科などを受診し、そこで身体的異常が発見されない場合は児童精神科などを推薦してもらいましょう。弊社でも児童用抑うつ性尺度を出版していますが、これは専門家の使用されるものです。一般の方が使用された場合、病気・症状の悪化につながる場合もありますので、まずは必ず専門家にご相談ください。