
原因に基づいてうつ病を3種類に分類できます
うつ病の原因には様々なものがあると考えられていますが、その原因に基づいてうつ病を大きく3種類に分類することができます。
心因性うつ病、
内因性うつ病、
身体因性うつ病の3つです。この分類方法はDSM-Ⅳでは用いられなくなりましたが、原因に基づいて治療法をある程度考えることができるため、現在でも有効な分類方法です。
心因性うつ病は心理的なストレスなどによって引き起こされるものです
心因性うつ病は性格や環境が原因のうつ病です。精神的葛藤や心理的ストレスによってうつ病が引き起こされます。さらに詳しく分類すると、本人の無意識下での精神的葛藤によって起きる神経症性うつ病、長期間の心理的ストレスの持続によって起きる疲弊性うつ病、突然の出来事、例えば大災害や家族の不幸などストレス体験が原因で起きる反応性うつ病の3つに分けられます。治療・改善法としては性格・環境要因を改善することが何よりも重要です。同時に適切な抗うつ剤などを処方します。
内因性うつ病は体質や遺伝的な原因によって引き起こされるものです
内因性うつ病は体質や遺伝的な原因によるうつ病ですが、最も原因がはっきりしないうつ病とも言えます。遺伝子検査などをしないかぎりうつ病になりやすい遺伝的傾向があるかどうかはわからないし、うつ病になりやすい遺伝的傾向の中には未知のものも沢山あると考えられるからです。また、その多くは心理的ストレスなどを契機に発症するため、内因性と心因性のうつ病を厳密に区別することは困難です。
原因がわからない内因性うつ病の場合でも適切な治療が必要です
内因性うつ病の場合、特に治療をしなくても寛解することが多いと言われています。また原因もわからない場合が多いですが、だからといって治療の必要がないわけではありません。抗うつ薬などの適切な治療を行えばより短期に寛解に至りますし、その後も適切な維持療法を行えば再発率は減少します。また、自分の性格がダメだからうつ病になってしまうんだとか、自分が怠け者だからこんな病気になるんだという患者さんの間違った認識を治すことも治療の一つです。何より決して自殺はしないことを約束してもらうことが大切です。
身体因性うつ病は脳など身体の病気によって引き起こされるものです
身体因性うつ病はまず身体の病気が先にあり、それが原因で引き起こされたうつ病をさします。脳血管障害や脳腫瘍など脳の病気が原因で起きるうつ病を器質性うつ病といいます。また、糖尿病や消化性潰瘍などの脳以外の病気が原因でうつ病になることもあります。また、身体の病気を治療する薬によってうつ病が引き起こされる場合もあり、これも身体因性うつ病の一種として分類されます。