
大脳は運動・知覚・精神活動の中枢です
大脳は頭蓋骨直下に位置し、脳の中で最も幅広い機能を担っている部分です。人間では大きく発達しており、脳全体の80%ほどの重さを占めています。人間が考え、何かを感じ、言葉を話し、記憶するのも大脳の働きによります。人間は生物の中でも知能が特に発達した生物だと考えられていますが、それは発達した大脳によるところが大きいでしょう。その表面には無数のしわがあり、神経細胞(ニューロン)と神経線維が詰め込まれています。
大脳の表面部分は大脳皮質と呼ばれ様々な機能が局在しています
大脳の構造のうち最も表側を
大脳皮質と呼びます。大脳皮質には100億個以上の神経細胞(ニューロン)があり、複雑な神経回路が形成されています。表面には大小様々な無数のしわがあり、このうち大きいしわによって
前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4つの部位に分けられています。4つの部位それぞれに異なる働きがあり、さらに細かく運動・体性感覚・言語・視覚・聴覚・嗅覚・味覚などの機能が特定の部分に分布しています。これを
大脳の機能局在と呼びます。

(wikipedia パブリックドメイン)
大脳表面には外側溝と中心溝という2つの大きな溝があります
大脳表面にあるしわはとても数が多く、仮にしわを全てひろげれば新聞紙ほどの表面積があると言われています。これは表面に多くの神経細胞を並べてより複雑な神経回路を形成するように進化してきたからだと考えられています。しわの膨らんだ部分を脳回、凹んだ部分を脳溝といい、その中でも
外側溝と
中心溝という2つの脳溝が最も目立ちます。この2つの溝と頭頂後頭溝によって、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4つの部位が区分できます。
大脳辺縁系はより本能的な機能を担っています
大脳辺縁系ははっきりこの構造というわけではなく、大脳の内側に位置している部分の総称と理解した方がわかりやすいかもしれません。大脳辺縁系には、情動反応・記憶などに関わる扁桃体や海馬体を始め多くの構造が含まれますが、機能が未解明な部分もたくさんあります。どちらかといえば、大脳皮質と比べてより本能的な機能を担っています。一般的な脳の傾向として、内側ほどより本能的な機能を担っているということができます。
大脳基底核は大脳と脳幹を結び付ける神経核です
神経細胞(ニューロン)の核がある部分を細胞体と呼びます。神経細胞の細胞体は決まった場所にかたまって存在することが多く、その集合を神経核と呼びます。大脳皮質と脳幹を結びつける神経核が集まっているところを
大脳基底核と呼んでいます。大脳基底核は運動の調整や学習など、様々な機能を持っています。どの構造までを大脳基底核と定義するかは研究者によって異なります。代表的な構造は線条体です。
中枢神経系組織は細胞体の有無により灰白質と白質に分類されます
大脳皮質や大脳基底核のように細胞体が集まっている(すなわち核も集まっている)部分もあれば、細胞体が集まっていない部分(すなわち核が集まっていない部分)もあります。それぞれ色が異なり、前者の方がやや灰色がかって見えるので灰白質、後者を白質と呼んでいます。色の違いは白質に大量に存在するミエリン鞘の主成分が白いことに由来します。灰白質は大脳や小脳では主にその表面(皮質)にあり、間脳、脳幹、脊髄では内部にあります。
