心身症は心と体の関わりが強い小児によくみられます
子供は心も体も成長過程にあり、未分化な状態です。そして大人以上に心と体の関わりが強く、様々な情動が身体的な影響を及ぼします。例えばストレスによって体がだるくなったり、発熱したりすることがあります。また熱があることで大きく気分が落ち込むこともあります。不登校の児童に腹痛などの身体症状が出たりすることは頻繁にみられます。小児の原因不明の身体症状は心身症として検討してみる必要があります。
小児の代表的な心身症は気管支喘息とアトピー性皮膚炎です
子供の心身症として多く見られるのが
気管支喘息と
アトピー性皮膚炎です。一般的にはアレルギー性疾患として分類されますが、心身症として診療を行うのが適切な場合が多いです。気管支喘息は乳児期、アトピー性皮膚炎は幼児期に多く出現します。外泊時にのみ喘息発作がおきたり、テストの前にアトピー性皮膚炎が悪化したりする例がみられます。どちらも治療が長期的になりがちで、肉体的負担も大きく、さらなる心の不調を伴いやすいので注意が必要です。
学童期以降は不登校につながる心身医療を必要とする疾患が増加します
児童が学校に通うようになると、起立性調節障害や摂食障害など心身症と関連のある心因性疾患が増加していきます。これらの疾患は精神病や発達障害とともに
不登校・引きこもりにつながる恐れがあります。この時期に適切な指導や治療を行わないと、一生続く疾患になってしまうこともあります。身体症状が認められるできるだけ初期段階から、心と体の両方をケアする心身医療が必要になります。
児童が訴える身体症状は実際の体験です
子供が身体症状を訴えているけれども、診察や検査で異常が見つからないということがあります。体のだるさや頭痛、腹痛は実際に測定することはできませんし、時間が経てば、あるいはストレスが軽減されれば症状が消えることも多いです。だからといって、病気ではないということでもありませんし、仮病というわけでもありません。本人はとてもつらいのに、サボろうとしていると見なされてしまうことは、子供にとって大きなストレスになります。周囲の大人がよく理解してあげることが大切です。
心身症につながるストレスを児童が自覚していない場合があります
心身症の場合、必ずその原因となるストレスが存在します。しかし、子供に聞いても「心配事や気になることはない」と答えるケースがよくあります。全く心的ストレスに無自覚な場合、自分の症状を身体の病気としてしか理解していない場合、心の病気とみなされたくなくてウソをついている場合、うまく言葉で表現できない場合など様々な場合があります。身体症状に対するなんらかの対処をする一方で、様々なアプローチでストレス要因を軽減するよう対処していかなければなりません。
自己主張しない子や相手に気を遣う子は心身症になりやすいです
自己主張しない、言いたいことが言えない子供は、不満や悩み事を口に出して言うことができなく、ストレスを蓄積して心身症になりやすいです。また相手に気を遣って、相手に合わせる子供も同様です。相手への気遣いは良いことであり、治すようなことではありませんが、自分の性格に対しての理解が深まり、先生や親など周囲の人に対して自分らしく振る舞うようになれば、心身症の改善に結びつくかもしれません。