
神経細胞は情報の伝達と処理に特化した特殊な細胞です
人間の細胞は同じDNAを持ちながら、それぞれ特殊な機能を持つ細胞に分化しているわけですが、その中でも情報の伝達と処理に特化した細胞が
神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は動物に特有の細胞(海綿動物では未確認)です。構造的には、核のある細胞体、他の細胞からの入力を受ける樹状突起、他の細胞へ出力する軸索の3つの部分からなります。樹状突起と軸索は合わせて神経突起と呼ばれ、神経細胞最大の特徴となっています。

(wikipedia パブリックドメイン)
細胞体には細胞核があり一般的な細胞の機能を担っています
細胞体には細胞核をはじめ細胞小器官が集中しています。形状的には最も膨らんでいて、細胞体から樹状突起や軸索が出ているようで、細胞の中心部分に見えます。機能的には、一般的な細胞としての機能を担っていて、例えば、核周辺部にある粗面小胞体ではタンパク合成が行われています。大きさは1mm近くになるものから、200分の1mmしかないものまで様々です。
軸索は神経細胞において他の細胞へ信号を出力する部分です
軸索は神経細胞が受けた刺激を他の細胞へと出力する部分です。人間の軸索の中には数十cmになるものもあれば、数mmのものもあり、大きさには幅があります。軸索は基本的に1つの細胞体に1本しかありません。軸索の先端は枝分かれしている場合があります。細長い軸索が維持できるのは、長い細胞骨格によって支えられているからです。軸索の先端に物質が輸送される場合は、この細胞骨格に沿って運搬されます。
軸索の一部にはグリア細胞が巻き付き髄鞘と呼ばれる構造を取ります
神経系を構成する神経細胞ではない細胞を
グリア細胞と総称します。軸索の一部にはこのグリア細胞が巻きついていて、
髄鞘と呼ばれる構造を取ります。髄鞘には絶縁体の性質があり、髄鞘によって電気的信号の伝導速度を上げる
跳躍伝導が起きています(跳躍伝導については今後別ページで詳しく紹介します)。髄鞘を構成する細胞は、中枢神経系ではオリゴデンドロサイト、末梢神経系ではシュワン細胞です。
樹状突起は他の細胞からの信号入力を受け取る部分です
樹状突起は他の細胞からの刺激を神経細胞が受け取る部分です。軸索と異なり、1つの細胞に何本もあります。例えば小脳のプルキンエ細胞の樹状突起は枝分かれの多い巨大な樹状突起を複数持っています。軸索や樹状突起の先端は、細胞間の信号伝達を行うシナプスを構成しています。1つの神経細胞に複数の細胞が信号入力を行い、信号強度が合算されたりすることにより、複雑な情報伝達が可能になっています。

(プルキンエ細胞:wikipedia パブリックドメイン)
神経細胞は層構造を形成して高度な情報処理を行っています
人間の大脳には数百億もの神経細胞があり、それぞれの細胞に平均数万個のシナプスがあります。これらの細胞は複雑なネットワークを構成し、人間の複雑な行動・感情・思考を可能にしています。神経細胞は種類によって形も働きも様々ですが、種類ごとに集まって大脳皮質で6層、小脳皮質では3層の層構造を形成しています。層構造によって、より秩序だった効率の良い情報伝達が可能になり、高度な情報処理が行われています。