起立性調節障害は自律神経失調症の一種です
起立性調節障害はODと略される、朝起きることができず、目まい・頭痛・立ちくらみなどの症状がある、自律神経失調症の一種です。他にも様々な症状がありますが、一般的な診察や血液検査では異常が認められない場合、起立性調節障害と診断される場合が多いです。通常は、朝に交感神経が高まり身体が活性化し、夜に副交感神経活動が高まり身体を休養させますが、起立性調節障害の人はそのリズムが5時間ほど後ろにずれている場合が多いです。
起き上がったときの血圧調節の障害なので起立性調節障害と呼ばれています
人が立ち上がると、血液は重力によって下半身に多く集まるようになり血圧が下がります。これを防ぐために交感神経が興奮すると血圧が維持されます。しかし、起立性調節障害の方は朝の交感神経の働きが弱く、起き上がっても血圧は低下したままになります。一方で、横になっているときは血圧が低下せず血流もスムーズなため身体が楽になります。現在は
連続血圧測定装置によって連続的に血圧を測定し、診断することができます。
起立性調節障害は10代前半に多く不登校につながりやすいです
起立性調節障害は小学生・中学生・高校生に多く、中学生では約10%ほどの有病率とされています。男女別ではやや女性の方に多くみられます。朝起きれないだけでなく、午前中ずっと体調がよくない場合もあり、
不登校につながりやすいです。午後や夜は体調が回復して普通に過ごせるので、病気に見えないかもしれませんが、研究によって確かに病気であると確認されています。正しく理解してあげることが必要です。
起立性調節障害は心身症の1つとして見ることもできます
さまざまな精神的ストレスによって起立性調節障害が悪化することが知られています。症状が出ていて身体的にはつらいのに、さぼっているのではないかと疑われるようなことがあれば、さらにストレスが増えて悪化することも考えられます。症状が中程度の場合は数年でほとんど回復しますが、重症例では登校が不可能になり、社会復帰に長い時間がかかる場合があります。身体面での治療と同時に心のケアも必要です。
治療は日常生活の中で行う非薬物療法からはじめます
重症でない場合、治療は
非薬物療法からはじめます。運動療法では散歩程度の歩行を行います。早寝早起きなど規則正しい生活リズムを心掛けることも大切ですが、本人の意志では難しいことも多く、強制してはいけません。また気温の暑い場所を避け、やや多めに食塩を摂取することも大切です。これらは血圧低下を防ぐためです。運動療法や重症な場合や非薬物療法で効果が見られない場合は薬物療法を試すこともあります。