広汎性発達障害は社会性に関連する発達障害の総称です
発達障害は大きく広汎性発達障害と特異的発達障害の2つに分けられますが、
広汎性発達障害はそのうち社会性の獲得やコミュニケーション能力の獲得といった社会性に関連する発達の遅れを指します。広汎性発達障害は症状の軽い人も含めれば0.5~1.0%ほどいると考えられています。広汎性発達障害は自閉症やアスペルガー症候群など、様々な種類の発達障害を含むものです。症状の程度はさまざまであり、重症の場合は知的障害が見られることもあります。
広汎性発達障害の方に共通して見られる特徴①:コミュニケーションの問題
様々な症状の方を含む広汎性発達障害ですが、どの患者にも共通してみられる特徴がいくつかあります。コミュニケーションにおいては、言われたことをそのまま受け取ってしまうので、相手の発言の真意が読み取れず、冗談や皮肉が通じない傾向があります。言ってはいけないことをいってしまったり、話し方が独特だったりします。また言語の発達が遅かったり、失語がみられる場合もあるので、周囲の人とのコミュニケーションが困難です。
広汎性発達障害の方に共通して見られる特徴②:対人関係の問題
コミュニケーションに問題があるため、当然対人関係にも問題が発生します。冗談が通じなかったり、場の空気を読むことが苦手なので失言癖があることも多く、孤立しやすい傾向があります。また、周囲に全く関心を持たなかったり、過度に積極的に関わろうとしたり、また相手の気分を損なうようなことを平気で言ったりするので、円滑な対人関係がなかなか構築できません。
広汎性発達障害の方に共通して見られる特徴③:こだわり
広汎性発達障害の方は臨機応変な対応がなかなかできず、自分なりの順序・方法に則して物事を進めることにこだわる傾向があります。また、興味のある分野だけに強い関心を示し、その他のことには関心を示さないことがあります。こういった傾向は、初めての状況や興味の範囲外の物事に対して想像力を働かせることができないために生じているようです。一方でこの一分野への強い関心がプラスに働き、特定の分野で優れた能力を発揮する例も知られています。
広汎性発達障害の原因は主に先天的なものと考えられています
広汎性発達障害の原因ははっきりとわかっていませんが、DNAの変異や染色体異常など遺伝的要因が強く、先天的な病気と考えられています。育て方や本人の心によるものだという考え方は間違ったものです。診断は本人や保護者の面談・問診、また家族や学校の先生の情報から、広汎性発達障害と考えられる症状があるかどうかをチェックします。必要な場合は性格検査や発達検査が行われる場合もあります。
広汎性発達障害の子どもにはできるだけ褒めながら接します
先天的なものであるため、発達障害の子どもが周囲と異なる様子や行動なのはしかたないことです。努力してもできないことを叱っても意味はありません。それよりもいつもと同じようにできたこと、いつもよりうまくできたことを褒めることが大切です。また物事を言葉で伝えるだけでなく、視覚情報で伝えるなど配慮しながら接したり、不安や緊張を和らげるように接することが重要です。