自閉症は広汎性発達障害に含まれています
自閉症は発達障害の1つであり、広汎性発達障害に分類されています。 言葉の発達・意思伝達の障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動・過度のこだわりといった(広汎性発達障害の)特徴を持っています。近年は、知的障害のない軽い症状の人も含めて
自閉症スペクトラムという呼び方をされるようになってきました。発症などの具体的なメカニズムはまだ多くがわかっていません。
自閉症は先天的な脳の機能不全による障害です
以前は自閉症は心の病気だと誤って理解され、「親の育て方に問題があった」「いじめのせいで自閉症になった」といった誤解がありました。自閉症は
先天性の脳機能の障害による発達障害であり、3歳までには何らかの症状が見られるとされています。何かが原因で自閉症になることがない一方で、自閉症を治すような方法は未だ見つかっていません。現在は育て方や教育によって症状が改善するように働きかけて、うまく社会に適応できる道を探していく方法がとられます。
具体的な特徴①:コミュニケーションの問題
最も大きいのは言葉が話せない、または言葉の発達に遅れがあることです。言葉が話せても意味が正確にわかっていなかったり、場面にあった適切な言葉が出てこなかったりします。自分の好きな言葉を繰り返したり、オウム返しをしたりします。指差し、目線など言葉を使わないコミュニケーションを理解することができません。何かをしたいときに相手の手を使ってしてもらおうという
クレーン現象が見られます。こういったコミュニケーションの障害は、必然的に次に挙げる対人関係の問題と結びついてきます。
具体的な特徴②:対人関係の問題
目線を合わせようとしない、表情が乏しいといった特徴があります。注意を受けているのに笑ってしまう、場の状況や雰囲気が理解できない、相手の気持ちを読み取りにくいというように、対人的または情緒的な相互性に問題があります。また、人とほとんど関わらない、または積極的に関わり過ぎるといったように、相手との丁度よい距離を築くことができません。そして同年代の子どもと遊べないなど発達水準に合った仲間関係がなかなか作れません。
具体的な特徴③:こだわり
自閉症の人は活動と興味に偏りがあり、強いこだわりがあるように見えます。これは想像力を働かせる部分に障害があるためと考えられています。例えば車のおもちゃを使って遊ぶ時でも、車を走らせるのではなく、一列に並べたりタイヤを回転させてそれをずっと眺めていたりします。手をひらひらさせる、体を揺らす、同じ場所を行ったり来たりするといった行動を反復することがあります。また物事を同じ手順ですることにこだわりを持ち、いつも同じ道順を好んだりします。他に感覚が鋭すぎたり、鈍感だったりという感覚の異常がみられます。
自閉症は決して珍しい病気ではありません
自閉症の方は500人に1人ほど、またより症状の軽い方も含める自閉症スペクトラム的な考え方をすれば100人に1人ほどの割合であると考えられています。この割合とすると、計算上日本にも25万人ほどの患者がいることになります。男性により多く、その発生頻度は4倍ほどになります。近親者に自閉症の方がいる場合は、発生頻度が高くなることからも、遺伝的な要因があることがわかっています。自閉症の方には一人ひとりに合わせた療育、支援、そして何より周囲の理解が必要です。