知覚は刺激に対して意味づけを行う過程です
人間を含む動物は、外界からの刺激を感じ取り、それに基づいて行動しています。感じ取った外界の刺激に意味づけをするまでの過程を
知覚と呼びます。例えば熱い物に触れた時、皮膚が物理的な刺激(熱)に基づく感覚情報を受け取り、それに対して「熱い」という意味づけを行うまでの過程が知覚です。特に現代社会における人間は、1日中多くの刺激にさらされており、非常に多くのことを知覚しています。知覚は人間の心理と密接に結びついています。
刺激とそれを受け取る感覚機能には様々な種類があります
テレビやスマホの画面に映る情報、話し声や音楽などの音、自動車や電車の振動、様々な臭い、食べ物の味。これらは全て人間が外界から受け取る刺激です。刺激は物理的刺激、化学的刺激、機械的刺激、温度刺激などに分類されます。一方、刺激を受け取る感覚機能では
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)が広く知られています。触覚の中に温度感覚も含めることが多く、
体性感覚と呼ぶこともあります。目・耳・鼻・舌、そして皮膚から、人間は様々な情報を受け取っています。
五感以外にも運動感覚、平衡感覚、内臓感覚などがあります
外界の刺激を受容して上に示した五感がよく知られていますが、これが人間の感覚の全てではありません。五感はどれも外界の刺激を感じ取るものですが、自身の体に関連する感覚である、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚などが知られています。
運動感覚は身体の運動についての感覚であり、
内臓感覚は臓器の状態に伴う感覚です。内臓感覚の場合は、各器官に感覚受容器が存在し、自分の内臓の生理的な状態などを把握しています。
知覚は大脳において非常にうまく処理されています
知覚も、他の様々な情報を処理している
大脳においてうまく情報処理・統合されています。五感やそれ以外の感覚がうまく統合されることで、人間は様々な行動をすることができます。例えば、「目の前にある時計をつける」という行為を考えてみましょう。無意識にでもできそうな行為ですが、その過程には様々な感覚・知覚が関与しています。時計を見る知覚、時計に触れる触覚、手をのばす際の体性感覚、そしてその間に時計を見て時計だと認識したり、運動出力を行うといったことが統合されて初めて時計をつけることができるのです。
運動出力情報も知覚において重要な役割を果たしています
人間は、得られた感覚に基づいて知覚・判断した結果、運動出力、すなわち体を動かします。一方で、「持った物が重い」という知覚には、皮膚の触覚(圧覚)や、重さに抗して筋肉を収縮させる運動出力が関与しています。つまり運動出力と知覚が相互作用していると考えることができます。このように触覚と知覚が結びついて対象を知覚することを
能動的触知覚(アクティヴタッチ)と呼びます。
知覚の次の過程は認知です
上述のとおり、知覚は感覚に意味づけを行う過程です。知覚の最終到達点は「熱い」「重い」「固い」といったものになります。それを元に、人間は「熱いのはなぜか?」「重いから手を離そう」「固いから良い材料になる」とさらに解釈を進めていきます。時計が見える過程と、見えた物を時計だと認識する過程はまた別の物です。外界にある対象を知覚した上で、それが何なのかを判断したり解釈したりする過程を
認知と呼びます。認知は知覚よりさらに高次の機能と言えます。