アルコール依存症者には特有の考え方が見られます
近年、アルコール依存症は精神障害としても理解されるようになってきました。アルコール依存症が進行するにつれて、特有のものの考え方や病的な精神状態が現れてきます。多くの場合はアルコールを何とかして飲もうという方向に思考が働き、アルコールを飲むことを正当化しようとします。このような精神状態はアルコール依存症をさらに進行させるように働き、回復をより遠ざけてしまいます。
少しだけ飲み、飲んでも問題を起こさなければよいと考えます
少しだけなら、そして飲んでも問題を起こさなければよいと考えるアルコール依存症の方が大変多いです。上手に飲める方法を探しながら様々なことを試しますが、最終的には飲み過ぎてしまいます。一度アルコール依存症になった方は「少しだけ飲む」「適量を飲む」ということはできません。完全に断酒しない限り、アルコール依存症は進行していくことを理解しましょう。
自分より重症の人と比較しようとします
アルコール依存症の人は、自分より重症の人を見つけて、そこまでではないから自分は大丈夫と考えます。例えば、自分にはまだ家族がいる、自分は路上で寝たりしないというようになんとかまだ大丈夫という余地を探そうとします。入院しても、他の患者はアルコール依存症だけれども、自分だけは違うんだと思い続けます。入院させられたこと自体を不満に感じる人も多いです。
反対に自分のことを情けなく感じる場合もあります
アルコール依存症が進行すると、何をやっても飲酒のためにうまくいかなくなり、自分だけがみじめなように感じることがあります。特に、アルコールが抜けてきた時にこのような状態になりやすいです。この気持ちはお酒を飲むことで解消されるので、よりアルコール依存症が進行します。この悪循環を断ち切らないと、アルコール依存症は決して治りません。
家族にも理解してもらえない孤独感を感じます
アルコール依存症の方の中には、なんとかしたいという気持ちはあるけれどどうにもならなくで苦しんでいる方も多いです。しかし、このことを家族も含めて周囲の人間に理解してもらうことは困難です。周囲の人間は、止める気があれば止められるだろうと考えますが、本人の意志では止められないケースもたくさんあります。アルコール依存症はれっきとした病気であり、通院や服薬も必要です。
飲んだことに理由をつけて正当化しようとします
心の底から飲酒をよいことだと思っているアルコール依存症の方は少ないです。よくないことだとある程度わかっているので、なんとか理由をつけて飲酒を正当化しようとします。暑いから、寒いから、いいことがあったから、悪いことがあったから、また誰かのせいで、といった理由で飲酒します。本当の原因は自分の身体的・精神的なものであり、そのことを理解して断酒に取り組むことが必要です。
最終的にはお酒を飲むこと以外考えられなくなってしまいます
アルコール依存症が進行すると、行動パターンすら変わってしまいます。何よりもまず飲酒を優先し、お酒以外のことはどうでもよくなります。嘘をついたり、人をだましたりしてもお酒を飲もうとします。精神的な問題だけでなく、身体的、社会的にも問題が生じ、悪循環に陥ります。このページで挙げるいずれの精神状態もアルコール依存症をさらに進行させるように働きます。長期的な身体的・精神的治療が必要になります。